委員や運営役員のなり手がいない。
役員決めはじゃんけん、委員決めはくじ引き。
「強制」だの「義務」だの、会員の雰囲気が重~いPTAは、たいてい、
子どもの成長に関係なさそうな仕事が多く、保護者の負担になっていることが原因だったりします。
育児に、家事に、仕事に、介護に、療養に…
忙しい毎日のなか、時間のやりくりがむずかしい母親(たまに父親)が、たまたまPTA会長になったばっかりに、
自分の子どもが出ていないのに、隣の学区の小学校の運動会や、中学校の卒業式に、来賓として出席して、
貴重な週末に、家族を置き去りにして、会長としての仕事に、丸一日、費やさなくてはならない。
子どもの成長のための活動、とうたうPTAなのに、
運営役員の子どもたちの成長は、犠牲にされているという矛盾…
そんなPTA運営役員の大変さを見て知っているからこそ、やってもいいと思う人が、どんどんいなくなります。
また、PTA経験者が、善意から、まわりの友人たちに、「やめておいた方がいい」とアドバイスしている例もあります。
根っからの生徒会長キャラの方が、幸運にも上に立ってくれて、彼・彼女たちの献身的な奉仕のおかげで、奇跡的にうまくまわっていっているPTAに入れたなら幸せですが、もし、そうじゃなかったとしたら・・・?
PTAは、いらない?
せめて、自分だけは退会して、面倒から逃げておく??
そんな極論が、近年ネットを中心に増えてきていますが、リアルなコミュニティでは、無言の同調圧力のためか、あまり快く受け入れてもらえないかもしれませんね。
逆に、余計な摩擦を生んで、さらに面倒くさそうです。お子様の育ちに悪影響があっては、本末転倒。
すぐに遠くへ引っ越すというなら、話は別ですが、。。。
では、PTAの仕事をへらして、子どものための活動だけに限定したら、参加者が増えて、雰囲気も良くなるのでは?
現代の保護者層に合った組織へのPTA改革は、やってみる価値があると思いませんか?
今回は、そんな、一部の善意の会員に、運営役員という多大な負担を強いて、
あまりやる気のない(失敬!)会員には「義務」として、薄く広く負担を迫って渋々参加させる、問題だらけの楽しくないPTAを、
スリム化して、多くの人が参加したくなるような組織に改革しよう!
と、試行錯誤する、有志の保護者たちの活動記録とPTAへのホンネを、リポートします。
PTA改革のきっかけ
PTA改革の舞台は、なごみの子どもたちが通っている公立小。どこにでもある、各学年2~3クラス程度の、駅から徒歩15分の、住宅街に位置する小学校です。
10年前に少子化が深刻で、続々と小中学校の統廃合が決議され、現在、多数の小中学校で、統合がすすめられています。
しかし、10年前と打って変わって、ファミリー層の都心回帰の流れで、地域の子どもの数は増え続け、
統合しなくても、1学年3クラスはある中規模の小学校同士が統合するので、
新校は、1学年4~5クラスで、児童の定員は、ほぼほぼ満員。一気に、マンモス校になりました。
PTA改革が始まったのは、この、統合新校がきっかけでした。
ふたつの小学校のPTAを、一旦終わりにして、新しい学校のための新しいPTA組織を、一からつくる必要があったからです。
なごみの子どもが在籍していた小学校は、昔から、兼業主婦がほとんど。
みんな忙しいのはお互い様~の気持ちで、「できる人が、できる時に、できる事を」協力して、知恵と労働力を出し合い、平和なPTA活動をしていました。
ところが、統合相手の隣町の小学校は、団地や賃貸住まいで入れ替わる世帯が一定数いました。
また、近年、さまざまなトラブルを経験し、保護者間での不満と不公平感が高まるなか、
運営役員はもちろん、委員すら、なり手に欠く状況でした。
数年前からポイント制を導入していたそうで、
「子ども一人につき、1~2度は委員か役員が義務」「一年間に、イベント手伝い参加で、12ポイント達成が義務」「委員会は全部で8こ」「庶務はコピー代自腹」「役員推薦委員会は役員勧誘の電話代自腹」「ポイント達成しないと、翌春の委員決めでつるし上げ」などなど、
まさに、阿鼻叫喚のPTAアリ地獄を、多くの会員が経験していた、というのでーーーす!!!
[voice icon=”http://riketama.info/wp-content/uploads/2017/07/c221e976d15d360d2ca2204715b5b6c2.png” name=”なごみ” type=”r big”]そんなPTAやだぽ~。( ;∀;) たのしくやろうぽ~。[/voice]
統合はチャンスだから、多くのPTAが抱えがちな問題点を克服して、今の時代にあった組織にしよう!
こういった声が、両校の保護者から聞こえるようになりました。
[voice icon=”http://riketama.info/wp-content/uploads/2017/07/c221e976d15d360d2ca2204715b5b6c2.png” name=”なごみ” type=”r big”]
マンモス校になったら、今いる小学校よりも、もっといろんな人がいる。
にっちもさっちもいかなくなってしまう前に、スタート地点から、PTA改革をしてしまおう!!
[/voice]
という事で、新校準備委員会という、時限的な特別委員会が設置され、有志のPTA会員ママ達が集まり、
PTA改革の火ぶたは、切って落とされたのでした。
PTA改革の手順
PTA改革は、具体的に、以下のような手順を踏みました。
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① 各委員会、運営役員の、仕事の棚卸し
② 続けるべき仕事/廃止していい仕事の仕分け
③ 続けるべき仕事をもとに、委員会と運営役員の人数と仕事の割り振りを決める
④ 組織図と規約を作り、統合前年度の各校の運営委員会(役員と委員長と校長先生が出席)で、仮承認を得る
⑤ 新校初年度のPTA総会で、④の内容の承認を得る(委任状ふくめ、3分の2以上の出席者のもと、過半数の賛成で成立)
[/btn]
①と②で、新校準備委員会の中での意見を取りまとめるのに、まるまる1年かかりました。
話し合いの結果、
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学級代表と校外(児童安全)と役員推薦の3つの委員会は存続
広報、文化育成、衛生委員会の3つを廃止
スポーツ大会や冬まつりなどの地域交流イベントは、行事委員会をあらたに設置
[/btn]
が決定しました。
従来の委員会を3つ廃止し、イベントごとに行事委員会を設置したので、委員会の数は微減でしたが、
廃止した委員会の仕事は全部需要が少ないと見なし、なくしたので、仕事量は格段に減りました。
そのほかの改革としては、
[btn class=”bg big”]ベルマークと資源回収(それぞれ年間5~10万円ほどの資金源となっていた)を廃止
保護者サークルへの過度な配布金は減額、代わりに、サークル長の運営委員会への参加義務も撤廃
区の小P連という組織には、引き続き所属[/btn]
小P連への関与をなくす案も、ぎりぎりまで検討されましたが、結局、続けることになりました。
なごみが目指していた小P連の当番の仕事は廃止できず、上納金を支払いを続けることになりましたが、
PTA会長が学校の代表で会合に出席することで校長先生の負担を減らすメリットだけでなく、
保護者サークルのリーグ戦参加や、地域とのつながりを維持する面でも、有用との結論に達しました。
自分だけでは見いだせなかったであろう物の見方・考え方を知れたことは、個人的には収穫でした。
では、PTA改革の合意形成に、どうして1年間もかかったかと言うと、ふたつ理由があります。
- PTAの担っていた仕事が多岐にわたり、各委員会への聞き取り調査に、8回も会合を持たなければならなかったこと
- 温度差のちがう人の意見を、PTA組織のスリム化にむけて集約する過程で、過去に役員経験のある方々からの廃止反対の意見を受け、そのたびに、ていねいに話し合ったこと
役員経験者が改革の抵抗勢力になるのは、よくある構図だそうです。
廃止と言われると、自分が過去にやってきたことを、否定されているような気持ちになってしまうからですね。
この点も、改革を進めるにあたって、無視できない大事なポイントです。
PTA問題点あるある
PTAが抱える問題は、テレビ報道やネット世論などを通じて、社会問題化してきていますので、これからPTAにかかわることになる親御さんも、いろいろなところで、耳にしていきていると思います。
やりたくない人が強制的に仕事をやらされていることで、校長室での会員の自殺未遂や、訴訟沙汰につながったケースもありましたし、
千葉県では、PTA会長が小学生女児を殺害する凄惨な事件が起きました。(←この事件はPTA組織の問題とは無関係ですが、PTAという言葉のイメージは、じゅうぶん悪化したと思います。)
せっかく、「子どもの健全な成長のため」に学校と保護者が協力して、相互を補い合うことのできる組織であるにもかかわらず、
ネガティブなイメージが先行してしまうのは、もったいないことです。
が、PTAで辛い思いをしてきた人、今もしている人が、少なくないのは、紛れもない事実です。
では、多くのPTAが抱えがちな問題とは、どんなものがあるのでしょうか?
よくある問題点
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- 本当は「任意加入」と文科省が定めているのに、任意と公言してしまっては人数が減るかもしれないとのおそれから、入学と同時に自動入会にしている。
- 委員はまだしも、委員長や運営役員の仕事の負担が非常に大きく、なり手がいない。
- 任期が1年、人材が流動的で、改革しようにも進まない。合意形成のため、改革するには、最低2年は必要。
- 波風を立てないようにと、前例を踏襲しがち。予算配分も前年度同様になりがち。
- 活動の目的や、実際にいつといつのスケジュールを抑えておくべき仕事なのかといった、具体的な説明が無いまま、委員になってと言われても困る。
- 委員と委員長の仕事の負担の差は歴然なのに、委員になった人は、みな平等に、委員長になる可能性がある「二段階選出」方法のために、委員になるのを尻込みしてしまう。
- 会員間での平等を強調しすぎて、くじ引きなどで委員や委員長に決まってしまった人の中には、実際の活動にまったく参加しない人も出てきて不満を生み、士気が低下する。
- 働く母親が増えたことで、平日の夜や週末に会合を開くことが増えたが、一方で、専業主婦は平日の午前中~昼間は都合がつけられても、夜や週末に子どもを預けて外出できない人が多く(だからこそ、専業主婦で居ざるを得ないのだし)、会合の日時を最適に設定することがむずかしい。
- 平日の夜の委員会の会合に出席するために、まだ幼いわが子を、夜間、子どもだけで留守番させるのは安全ではないが、託児もできない。
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本当に子どものためになっているという実感が伴えば、すすんでボランティアをしたい人は、一定数いるものですが、
目的が見えにくく、拘束時間が見えにくく、子どもの安全が置き去りにされている状況は、今もいろんなPTAが抱えている共通の問題です。
なごみの子どもが通う小学校のPTA改革も、まだまだ、道半ばです。
続く・・・