文部科学省がすすめる超エリート研究者養成機関:卓越大学院プログラムとは

 

「卓越大学院プログラム」って、知っていますか?

最近、検索数が急上昇したり、Twitterで話題入りしたりしていたので、耳にしたことがある方も、なかにはいらっしゃるかもしれませんね。

でも、大学関係者や技術畑でなければ、あまりなじみがない言葉だと思います。

 

卓越大学院プログラムに興味があるけれど、よくわからない。

嘘やん!って言いたくなるほどの超エリート研究者養成に関することだって事くらいしか。

でも、理系子育てをする上で、将来のこどもの通過点となるかもしれない大学・大学院の改革の行方について、知っておいた方が良さそうです。

 

たまたま、なごみのまわりに関係者が多く、ドクターコース生の抱える諸問題(とくに経済問題)は、よく知っていました。

そんなわけで、お役所からの発表資料となごみの見聞から、卓越大学院プログラムの特徴、背景、望まれる研究領域など、調べたことをまとめました。

 

 

卓越大学院プログラムとは

日本学術振興会と文部科学省の発表している資料は、むずかしい言葉が並んでいて、予備知識のない状態で読むと、あまりよくわからないと思います。

なんとなく凄そうだな、くらいのことはわかりますが。(;^_^)

 

卓越大学院プログラムとは、東大・京大・東工大・東北大・慶應など日本トップレベルの国公私立大学・大学院において、

優秀な博士人材をもっと輩出できるような研究者への支援制度を、国と大学と企業が協力して、

  • 学生を金銭的に支援して院に残ることを奨励したり、
  • 分野横断的な産官学共同の研究プログラムを設置したり、
  • 社会人ドクターが大学院に出入りしやすい制度を作ったり

することで、達成しようとするものです。

 

じつは、このような取組みは、すでにやっている大学院・企業は少なからずありますが、なかなか広がらない。ネックは経済問題。

ならば、国が予算を拠出して、その流れを加速させよう。というワケでして。

 

卓越大学院プログラム構想推進委員会では、当初、この事業の予算を100億円と見積もっていたようですが、

予算配分が決まって、ふたを開けてみると、約半額の56億円しか採択されなかった、ということが、あったそうです。

 

そんなわけで、お金が足りませんが、国からの補助金でまかなえない分は、

卓越大学院と認められた大学・大学院が、じぶんでパートナー企業を探してきて、

産官学共同研究の形で、これからの社会的課題の解決に資するようなテーマを研究する体制づくりを、学長の責任で、ほぼ自前でやっていくことが求められているそうです。

 

大学側の負担が予想以上に大きく、改革したい気持ちはあれど、ハードルが高く、一時は廃止されるのではないかと噂になっていました。

 

卓越大学院プログラムが生まれたワケ

このような構想が生まれたのは、近年、日本のアカデミアが抱える、以下のような危機的状況が、根底にあります。


  • 論文の引用数が、米中の有名大学と比べて、格段に少ない。(対照的に、中国の躍進はめざましい。)
  • 優秀な学生のほとんどは、修士を終えると、就職して、博士課程に進む学生の数が少なくなっている。
  • 博士課程に進んだ学生には収入がなく、食べていくためにアルバイト漬け、研究に専念できない。
  • せっかく博士を取っても、就職先が見つからず、若かった修士のときに就職しておけばよかったと後悔する。
  • 社会人になってから大学院に戻るのは、業務の都合上、むずかしい。キャリアアップや給料アップといったインセンティブにもつながりにくい。

 

これらは、かなりリアルな現場の声です。

 

まず、論文引用数の低さは顕著で、東大で392位、京大で518位です。(出典:THE 世界大学ランキング 2018)

英語の論文数が少ないことが大きな原因ですが、日本の大学院は、せっかくいい研究をしても引用されないため、研究の国際的な影響力が小さいのです。これは、研究者にとっては成果が認められない、悲しい状態です。

一方で、英語が母語でない中国の大学が発表した論文は、近年、引用数がどんどん増えています。

これに危機感を持っている教授たちは多いです。

だって、アジア圏のとびぬけて優秀な留学生が、こぞって日本でなく中国を目指してしまったら、人材獲得競争で負けてしまいますから。

 

あとの4つは、すべて、経済問題です。

ドクターコース生の生活は、大変です。何が大変かって、お金です。

もう大人だから、親に援助してもらえるかどうかは、個人差がありますよね。

自分で学費を払って、アルバイトして(しかも薄給だったりする)、生活費を工面して、

まわりの院卒の友達は優良企業に続々と就職して安定した収入を得ているのに、大学に残った博士過程の学生たちは、けっこう生活苦だったりします。

そんな現実をみて、博士課程進学をあきらめる修士の学生さんも、実際、多いです。

一方で、欧米中の大学院では、理系研究室の博士課程には、有給の枠がけっこうあります(もちろん、選考はあります)から、日本の博士課程の学生より余裕がある分、研究に専念できるようです。

 

それに、ポスドク修了後も、博士の学位が、日本企業ではあまり評価されないため、苦労する話はよく聞きます。

欧米では、博士の学位があれば、昇給するものですが、日本ではあまりないようです。

これが、社会人ドクターが増えない要因にもなっています。(一段階下の学位は、ちゃんと差があります。学士より修士の方がお給料が高いです。)

 

 

卓越大学院プログラムはどんな研究にお金を出すのか?

 

具体的な研究分野としては、

 

① 我が国が国際的な優位性と卓越性を示している研究分野
② 社会において多様な価値・システムを創造するような、文理融合領域、学際領域、新領域
③ 将来の産業構造の中核となり、経済発展に寄与するような新産業の創出に資する領域
④ 世界の学術の多様性を確保するという観点から我が国の貢献が期待される領域

 

の4つが、公募要項に記されました。

 

平たく言うと、

  1. 日本が勝たなければいけない分野。
  2. 文理融合などで新しい社会的な課題を解決できるような分野。
  3. 産業界が望んでいる分野。
  4. 日本が最先端の研究をしている分野。

のことです。

 

6月6日が、公募申請の締め切りだそうです。

どんな研究者・研究テーマ・研究計画が、出てくるのでしょうか? 楽しみですね。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

ABOUTこの記事をかいた人

コーヒー好きな能天気マザー。ふたりの子ども・りけねこ(10さい・おんな)りけまる(6さい・おとこ)を、理系で英語ペラペーラで活発でコミュニケーション上手に育てたい、じぶんは文系オトナ女子。趣味はヨガとアウトドアと日本の伝統文化。