人生100年時代をハッピーに生きる力を子供たちに!こんにちは。理系子育て案内人のなごみです。
理系の素養がないと、稼げる仕事を見つけにくくなる時代が、もうすぐやってきます。
そんななか、日本の大学では、いまだに「私立文系」の一大カテゴリーが存在し、数学アレルギーの文系オンリー人材(え?呼んだ?笑)を輩出し続けているように見えますが、このままでいいのでしょうか?
文系人材の需要過多の原因は、どこにあるのでしょうか?
そもそも、文理の選択は、日本の高校2年生にとっては、重荷なのでしょうか?
学生時代の文理選択が、日本の未来に良い影響をあたえるものに変えていくためには、どのような教育改革がのぞましいのか?
今も、政治・経済・学術分野で密接なかかわりのある、欧米の事例との比較を通じて、これからの子ども達に必要な教育システムについて、考えていきましょう。
日本の大学が文系人材を量産し続ける理由
日本では、大学受験前の高校2年生のときに、「国立文系」「私立文系」「理系」の3種類のどれかに進路を決めることが、一般的です。
というのも、受験で必要な科目数と種類が、理系か文系か、国立か私立を受けるかで、大きく変わるから。
だから、「私立文系」を選ぶと、その瞬間、高度な数学と理科(物理学、化学、生物学など)は、履修しなくてよくなる。
理由は単純。
行きたい大学に合格する可能性を、上げるためです。
国立文系志望は5科目受験のセンター試験がありますから、英数国理社の5教科を勉強しなくてはなりませんが、私立文系なら、英国社の3教科で済みます。ラクチン~~♪
いわゆる、私立大学の中のTier1(ティアワン)に分類される人気の早慶上智は、少子化でも大学受験の倍率が高く、
勉強する科目を絞る方が、合格率を上げやすいからですね。
そして、Tier2のMARCHほか、中堅大学などが、Tier1に受からなかった私立文系の受験生を受け入れます。
また、成績が振るわず、そもそも勉強に興味がない学生さんは、無理して大学に行かなくてもいいだろうに、すでに大学全入時代ですから、定員割れを起こすような私立大学文系学部を受験、大学側も経営面から学費を納入してくれる学生が要るので、受け入れます。
こうして、文系オンリー人材が、数多く輩出され続け、文系人材の需要過多を招きました。
では、まだ自分の進路を決められない人もいる、高校2年生という人生の早い時期に、
文理の選択を決めなければならないのは、日本だけなのでしょうか?
欧米の文理選択
アメリカの場合
アメリカの総合大学では、1年生(freshman),2年生(sophomore)は、一般教養(Liberal Arts)と呼ばれる学部に所属します。
文学部(BL:Bachelor of Literature)か科学部(BS:Bachelor of Science)の専攻の選択は、
ギリギリ遅くとも、3年生(junior)になる前までに、決めればいい場合が多いです。大体20歳のころ。
ただし、工科大などは例外で、高校のときに、高度な数学の単位を取っていないと受験できないため、大学受験前の高校1,2年の時に、理系を選択をすることになります。
文理選択につづく職業選択も、じっくり決めることができます。
大学を卒業してからすぐに就職するのではなく、1年間のギャップイヤーを挟むことが、世間的に認められているからです。ギャップイヤーの間、海外を旅したり、ボランティアや創作活動をしたりして、自分の本当に進みたい道を手探りで見つける時間を持つことができます。
[voice icon=”http://riketama.info/wp-content/uploads/2017/07/c221e976d15d360d2ca2204715b5b6c2.png” name=”なごみ” type=”r big”]20歳で文理選択、23歳で進路選択。ゆとりあるな~[/voice]
ただし、それも中間層以上の話。アメリカは格差社会ですから、低所得者層の子どもたちは、学費の高い大学には行けず、ギャップイヤーも持てず、低賃金の職に就くことになる場合が多いです。
では、ヨーロッパでは、どうなっているでしょうか?
経済でも政治でも、ヨーロッパを代表する大国である、ドイツとフランスの場合をみてみましょう。
ドイツの場合
ドイツでは、小学校が4年制で、卒業する10歳のときに、どんな種類の学校に行くのかを決めます。入試はなく、学校と家庭との話し合いで決まります。中等学校の種類は3つ。ギムナジウムと、中等実科・商科、基幹学校に分かれます。
ギムナジウムに入学した者は、総合大学を受験でき、将来は、大学の学位が必要な大企業の管理職や技術職などに就くことができます。
他の中学(中等実科・商科学校と、基幹学校)に入学すると、家具職人や美容師などの専門職、販売員などの、いわゆる「手に職」のマイスターへの道に進むことになります。親が職人だと、子も同じ選択をすることが多いのだそうです。
この慣行は、「子どもの可能性は無限大」と唱えがちな日本人から見ると、なかなか大胆で古風にも思えますが、キャリア教育を学校と家庭が早期から一体となって行っている様子は、技術の継承の面では心強いし、見習う点が多いです。
職人の家庭が、子供の将来の仕事としておなじ職人を選ぶのは、ギルドという職人同士の組合が中世からあり、戦後もなお影響力を持ち続けていることと、無縁ではありません。
一方で、日本で言う、中高一貫校にあたるギムナジウムに進んだ学生は、9年間かけて、国・数・社(歴史)・理(自然科学)・外国語の5科目を学びます。また、日本の高校にあたる最後の3年間(上級ギムナジウム)では、専門にしたい分野も学びます。
卒業試験が厳しいので、将来は文系に進むと決めていても、高校生活の最後まで5教科を勉強し続けなくてはならず、自然と、理系の素養を身につけることができます。
大学受験は、日本のような大学別の入試はなく、Abiturというセンター試験のようなテストの結果により、志望大学に入学できるかどうかが決まります。
[btn class=”bg-yellow big lightning”]大学に行くかどうかを決めるのが10歳。大学に行かない学生は、職業訓練に入るのが11歳。[/btn]
大学まで行く学生は、文理選択は(日本でいう)高校時代におこない、理系の勉強は高校卒業まで継続。ちなみに、教育費は無償です。
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びっくりするほど早い時期に進路選択!大学に行かないで職人になる道も整備されているのがGood!
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フランスの場合
一方、フランスでは、日本の高校にあたるリセ(lycee)は、すでに職業訓練校の位置づけで、
大学進学コース(バカロレアという大学受験資格を取れる)、職業コース(職業適性証:CAPを取得できる)、農業コース、軍事コースの4種類に分かれます。
よって、中学にあたるコレージュ(注:collegeと書くが、大学ではない)を卒業する14歳のときに、将来つきたい職業を、おおまかに決めることになります。
文理選択も、同じ14歳というタイミングで行われます。
人文系のバカロレアを取るのか、科学技術系のバカロレアを取るのかで、将来、受けられる大学・学部が決まるからです。
ちなみに、大学受験は、フランスではこのバカロレアの点数が、そのまま大学入試の役割をします。ドイツのAbiturと同様の制度ですが、フランスのバカロレアは、落第する学生が半数も出るという厳しいテストです。
[voice icon=”http://riketama.info/wp-content/uploads/2017/07/c221e976d15d360d2ca2204715b5b6c2.png” name=”なごみ” type=”r big”]
大学に行くかどうか、文系か理系か、決めるのが14歳。
大学に行かない人は、将来どんな仕事に就きたいかを決めるのが、14歳。
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バカロレア取得のリセ時代は、大学に入るためのバカロレア取得のために必死に勉強する点は、日本の高校生と似ていますね。ただし、大学別のテストはなく、日本で言うセンター試験だけです。
ヨーロッパの若者の就職状況
若年失業率の高いヨーロッパでは、日本とちがって、新卒が正規職に就ける割合は低く、
キャリアの最初の3年間は、大体、非正規雇用の職業で経験を積み、その後、正規の職に応募し、転職して、段々とキャリアアップしていくのが一般的です。
でも、10歳、14歳という人生の早い時期に、大学に行かない選択をした人は、職人の世界で生きるか、低賃金労働者になるかの二択という、固定されたキャリアの中でとどまるしかないため、
文理選択以前の問題として、低学歴者の職業選択に弾力性が無い点が、未来を生きる若者にとっては、つらい現実ですね。
日本では、中学・高校・大学と、各段階での受験競争は厳しいですが、文理選択は17歳前後です。
雇用状況は一時より大幅に改善し、新卒を正規雇用で採用してくれます。
ヨーロッパにくらべると、モラトリアムが長いだけでなく、若者の前には、就職のチャンスが大きく広がっています。
こうやって、他の国とくらべてみると、日本人はけっこう恵まれているんだなと感じました。
[voice icon=”http://riketama.info/wp-content/uploads/2017/07/c221e976d15d360d2ca2204715b5b6c2.png” name=”なごみ” type=”r big”]
アメリカはモラトリアムが長いけれど、ヨーロッパでは子どものうちに進路選択しなきゃいけない。
日本はちょうど、大人と子どもの中間地点の17歳で、進路選択、文理選択。雇用は売り手市場。実は、けっこう恵まれてる??
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文系人材に仕事の未来はあるの?
日本では、これまで、理系・文系がはっきりと区別されて、長~い職業人生全体に、影響を及ぼし続け、片方のスキルだけあれば良かったし、家族を養うことができました。
たとえば、文系学生の場合、大学卒業後に新卒で入社した会社で、総合職として、営業や管理など、技術以外の業務を担当する会社員になる道がありました。
それは、専門知識や経験のない新卒を、入社後、OJT(On the Job Training)で訓練するという、日本独自の慣行があるためです。
[voice icon=”http://riketama.info/wp-content/uploads/2017/07/c221e976d15d360d2ca2204715b5b6c2.png” name=”なごみ” type=”r”]新卒にやさしいシステム。就職したら、あとは会社がめんどうみてくれるって[/voice]
広告代理店やテレビ局、マスコミ、金融・証券など、これまで高収入だった業界には文系人材が多いため、「文系=高収入」の図式が成り立ち、イメージはとても良かったです。
しかしながら、IoT&AI社会で真っ先になくなる仕事は、このような事務職です。
日本では、約5割の仕事がAIに置き換え可能と言われていますが、その影響が大きいのが、文系の仕事。
これからのAI社会で需要の増える新しい21世紀型の職業には、理系の素養が、どうしても必要になってきます。
将来を考えると、文系学生は、今から、別の技術的な強みを、身につけておく必要がありそうですね。
ただし、理系の知識だけあればいいのかというと、そうではありません。
従来、文系が得意とされてきた、コミュニケーション能力などの感情的知性(EQ)が、
仕事に必要なスキルTOP10(世界経済フォーラムの2016年報告書による)のうちの4項目を占めています。
よって、これからは、
[btn class=”bg-yellow big lightning”]文系+理系=文理ハイブリッド[/btn]
このような文理ハイブリッド人材が必要とされていくことは、明確です。
最も稼ぐ能力を身につけられる可能性が高いのは、「話せる理系」、次いで、「技術もわかる文系」。
仕事をするには、いつの世も体が資本ですから、健康な心とからだを備えているのは、言うまでもありません。
文系の学生も、理系の学生も、お互いのいいところを吸収し合って、21世紀型のあたらしい職業に必要な、文理両方の素養を身につけていけるようにすることを、教育制度の面から、推奨するべき段階に来ていると思います。
それに必要なのが、大学入試の改革。プラス、大学で学生を本気で勉強させるモチベーションアップの施策。
[btn class=”bg-yellow big lightning”]
- 大学の入試システムを、文理ハイブリッド型に、思いきって変えること
- 仕事で必要なスキルを、産業界が学生に、早い段階で明示すること
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この2点が、達成できれば、大学より下の教育機関(=良い大学に入ることを目指す教育機関になっている中高)での教育改革は、どんどん進めていくことができるように思います。
教育改革が、文部科学省主導で、2020年に予定されていますが、一保護者としては、今後の改革の動向が、とても気になりますし、期待していきたいです!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
1人でも多くの子供たちが、明るい100年ライフを送れますように!